Japan Lawyers Guide 2022
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01年東京大学法学部卒業。02年弁護士登録(第一東京弁護士会)。06年Columbia University School of Law卒業(LL.M.)。10年ニューヨーク州弁護士登録。16~19年ドバイ駐在員事務所代表。93年The University of Sheffield(B.A.)、98年早稲田大学(MBA)、99年The University of Law(PGCE; LPC)。96~98年東京大学(文部省研究奨学金)。03年イングランド・ウェールズ弁護士登録。14年外国法事務弁護士登録(東京弁護士会)。05年東京大学薬学部卒業。08年東京大学法科大学院卒業。09年弁護士登録(第二東京弁護士会)。16年Stanford Law School卒業(LL.M. in Law, Science and Technology)。直結する本分野で、価値観を共有する日本の法律事務所がサポートできることは、クライアントにとっても付加価値となるでしょう」と期待を寄せている。  日々関心が高まる人権分野には 発想の転換とバランス感覚を サステナビリティの観点では、法律分野外と考えられていたトピックが法的な要素を多分に帯びるようになったとM&Aや組織再編の分野から近時の労働分野を見てきた柴原多弁護士は語る。 「少子高齢化に伴い、調整弁としての役割を担っていた非正規雇用の雇用形態にも同一労働同一賃金が導入され、フリーランスを労働関係法令の対象とする議論がなされるなど、日本社会に変化が起きています。変化は海外ではより大きく、海外工場の新設の際には雇用契約のみでなく、経済的搾取を防ぐための人権デューデリジェンス(DD)等の概念が生まれました。法律事務所は社会の動きと既存の知見を合わせ、サービスを変革せねばなりません」(柴原弁護士)。 まさに現在進行形で企業が人権DDの実施が求められているミャンマーで、2013年からヤンゴン事務所の代表を務めてきた湯川雄介弁護士は「現在ミャンマーは深刻な人権問題に直面していますが、ビジネスと人権を考える際には、一国の特殊な事例を見るだけでは不十分です。普遍的な“人権”の規範を理解し、グローバルにこの課題がどのように捉えられているかを考慮するステップが必要でしょう」と語る。 ヨーロッパを中心に矢継ぎ早に制定される法律などを含め、人権分野の情報や認識は日本と海外で大きく異なっているという。 「ミャンマーでは2017年頃から既に欧米企業を中心に問題対応が進みました。まだ日本は意識の持ちようの水準が違うと感じます。対応を行うには、担当社員だけでなくマネジメント層の認識の転換も必要です。その点をいかに分かりやすく伝え、実践していただくかに心を砕いていますね」(湯川弁護士)。 加えて、人権に関する対応は、従来の弁護士業務で多かった危機管理業務とは発想が大きく異なっているという。 「NGO等からの指摘への対応には対話が欠かせません。同じ“人権尊重”の目標に立ち、対応を模索することが必要です。そのためにも、現地で直接人権課題に直面している人々に交わり、文化や慣行、考え方を肌で感じ理解することも欠かせず、自前の拠点を持つことを非常に有意義だと考えています」(湯川弁護士)。 また、人権は国際通商における経済安全保障に基づく取引規制として直接的にビジネスに影響を与えるトピックとなった。非米国企業への米国の経済制裁や輸出規制など、経済安全保障の分野の業務に携わる中島和穂弁護士は「米中対立を背景として、従前は技術競争の側面が強かった問題が香港やウイグル等の問題を端緒として人権の側面で規制が発動される事例が多発中島 和穂 弁護士Kazuho Nakajimaエイドリアン・ジョイス 外国法事務弁護士Adrian Joyce葛西 陽子 弁護士Yoko Kasai

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