Japan Lawyers Guide 2022
29/133

ての業務を行えるようになったと池田弁護士は語る。 「業務分野も独禁法・消費者法のみならず両分野をつなぐ情報法を専門とするメンバーも加わり、サービスに厚みが出ました。M&Aなど特殊な場面で必要な法分野と異なり、独禁法と消費者法は、一般的な取引に広く関連する法分野です。ビジネスの企画からステイクホルダーやサプライヤーとの取引、その後のトラブルも含めて全体をサポートできる体制が実現したと感じています」(池田弁護士)。 今後は組織体として発信にも力を入れていくという。 「事務所のオウンドメディア「INSIGHT」では、各弁護士が自身の専門性に基づいた記事を発信しています。また、消費者庁が後援し、2021年に第1回が実施された景品表示法務検定試験については、独自のオンライン対策講座を受験者の皆さまに提供することができました。2022年も実施されるようであれば、内容をアップデートして早めに公開し、皆さまのお役に立てられればと思っています」(池田弁護士)。DATA■所属弁護士等弁護士11名、事務局5名(2021年12月現在)■沿革2018年10月1日設立、2020年5月1日事務所を有楽町イトシアに移転報保護法関連業務やプライバシーポリシーの作成・改訂も行っています」(宮内弁護士)。 経団連時代は有名な法律や規則の改正の際は必ず意見を求められるため、企業に規制の現状を整理し伝えるとともに、意見を集約し政府に伝えるハブの役割を果たしていた。宮内弁護士は「幅広く把握し、バランスよく簡潔に整理する点は鍛えられましたね」と振り返る。 宮内弁護士の調整能力について、染谷弁護士は「企業法務の弁護士として非常に重要な能力で、世の多くの弁護士が苦手としているものだ」と評価する。 「インパクトの大きい消費者庁対応の際も、上場企業の経営者に対して理路整然と説明しつつ、的確に相手の理解度を把握し補足まですることができます。時間が限られた相手とのコミュニケーションが非常にうまいですね」(染谷弁護士)。 今後も幅広く案件に取り組み、企業が法環境に対応する架け橋になりたいと語る宮内弁護士。2022年は改正特定商取引法の施行が予定されており、既に多くの相談が寄せられているそうだ。 「法律上明示されていなかった購入前の最終確認事項について、記載すべき事項が明記されました。記載が不十分かつ消費者が誤認した場合は契約の取消しまたは罰則規定が適用されます。施行後も継続的にご相談があるかと思いますので、分かりやすく明確にアドバイスを実施していきたいと思います」(宮内弁護士)。宮内 優彰弁護士Hiroaki Miyauchi14年京都大学法学部卒業。16年神戸大学大学院法学研究科修了。17年弁護士登録(東京弁護士会)。18年日本経済団体連合会入局。21年池田・染谷法律事務所入所。 取引全般の法律問題を カバーするとともに クライアントへの情報発信も強化 多彩な専門性を持つ所属弁護士が11名揃ったことで、同事務所は個人の集合体を超えたチームとし

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る