Japan Lawyers Guide 2022
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ズの高まりに応じ、2022年春に独禁法・消費者法ブティックとしておそらく初となる大阪事務所を設立する。創業2年目の2020年に事務所を有楽町に移転してから、わずか2年での複数拠点設置に踏み切る同事務所の勢いは増すばかりである。 共同代表で同事務所の独禁法案件を率いる池田毅弁護士は「独禁法に基づく公正取引委員会の調査等において、ニュースとなる大事件を多く担当していますが、中部地方・西日本のお客様からのご相談が急増しています。一方で、当局の調査対応にはタイムリーかつ密接なサポートの需要が高く、大阪に拠点を設置することにしました。池田・染谷をはじめ、東京での所属弁護士も適宜東京と大阪を往復し、西日本のクライアントをサポートします。皆さまに安心いただけるよう、東京と同質のサービスを受けられることにこだわった体制を整えられればと考えています」と語る。谷弁護士)。 「育児・介護・病気治療などが要因で、本来の能力を活かせない・評価されないことはおかしいことです」と語るのは池田弁護士。同事務所は売上ではなく、仕事への貢献度で評価を行い、収支を共同するシステムを取り入れている。これにより、多様なライフステージに立つ弁護士でも能力を発揮しやすい環境を整えている。 スペシャリストとして求められた結果、業務の9割が表示関連という状況だという川﨑弁護士。コロナ禍の影響で景表法や薬機法とのバランスが求められる商品が急激に増えたことも要因だという。 「消費者庁の調査担当だったことから、資料の確認ポイントや消費者庁の判断過程を理解しており、事案に明確にアドバイスできる点はご評価いただいていると思います。キャンペーンの不当表示の確認や、2020年に改正され執行が強化された薬機法に関する化粧品やサプリメントのご相談も増加しています」(川﨑弁護士)。 広告関連の相談はクライアントが返事を急ぐことも多い。時短勤務かつ子育てで慌ただしい中、どう対応しているのだろうか。 「スケジュール管理と同僚の協力のおかげです。クライアントからの連絡には、緊急度を判断して返答をします。当日希望の場合はできる限り対応し、即時が難しい場合は最低限確認すべきことだけでもお伝えします。対応が困難になりそうな場合は池田弁護士・染谷弁護士に早めに相談するようにしています」(川﨑弁護士)。 最近、消費者庁によるアフェリエイト広告に関する考え方が示されており、企業には対応が求められている。既に川﨑弁護士を頼るクライアントも多い。 「これまでアフェリエイトに対する措置命令は出て池田 毅弁護士Tsuyoshi Ikeda02年京都大学法学部卒業。03年弁護士登録(現在、第一東京弁護士会)、03年弁護士法人大江橋法律事務所入所。05~07年公正取引委員会事務総局審査局勤務。08年カリフォルニア大学バークレー校ロースクール修了(LL.M.)。09年ニューヨーク州・カリフォルニア州弁護士登録、森・濱田松本法律事務所入所。18年池田・染谷法律事務所設立。 時短勤務でもパートナーに 能力を最大限発揮できる事務所に 同事務所がサービスの質を高めるために採用するのが、自由なワークスタイルの推奨および協働システムの構築だ。たとえ時短勤務であったとしても、成果で貢献すれば評価が得られる人事制度で優秀な人材を呼び込んでいる。 その象徴といえるのが、四人の子育てをしながら9時~14時の時短勤務を行う川﨑由理弁護士が2022年1月からパートナーに昇格することだ。 「川﨑弁護士には検事を経て、消費者庁表示対策課事件班班長として景品表示法違反被疑事件の調査・執行に関わった類稀なるキャリアがあります。加えて、時短勤務でも非常に質の高い成果とコミット力を発揮し、クライアントから高い評価を得ており、事務所の模範的な弁護士といえる存在です」(染染谷 隆明 弁護士Takaaki Someya09年専修大学大学院法務研究科修了。10年弁護士登録(東京弁護士会)。12年株式会社カカクコム入社。14年消費者庁消費者制度課・課徴金制度検討室課長補佐。15年消費者庁表示対策課課長補佐。16年内田・鮫島法律事務所入所。18~20年日本組織内弁護士協会理事。18年池田・染谷法律事務所設立。

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