Japan Lawyers Guide 2022
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スト削減に貢献しています。新規参入のための調査のほか、法務リスク管理の前提となる“レギュレーション・マッピング”も提供しています」(木内弁護士)。ことも踏まえた上で「日本企業では法務部の役割に対する期待が必ずしも高いとはいえず、人員数も予算も少ない場合が多く、できることが限られていることが最大の課題」と指摘した。 欧米企業などでは、大規模なリーガル部門に多数の弁護士が所属することが一般的だ。そのため、日本企業が海外進出する際の買収や子会社設立の際に、法務の体制や文化の差異により問題が発生することが多いという。「“PMI(M&A後の統合)がうまくいかない”“現地のグループ会社に法務業務を任せきりにしている”などはその例です。本社が十分に一元的なグローバルでの法務ガバナンスを実行する体制を整備できていない、それでいて対外的には本社の法務を所管する役員が責任を負っている場合が多いのです」(室伏弁護士)。 「日本では、経営者だけでなく社会全体が、さまざまなリスクに充分に敏感でないように感じる」という室伏弁護士。海外では大規模訴訟や大きなレピュテーションリスクへの警戒が強いが、日本では訴訟も多くは小規模で、レピュテーションリスクは法務と切り離されがちだという。「ESGのような例を見ても、近年は取り上げられるようになりましたが、まだ日本社会は他人事のように捉えている人も少なくないのではないでしょうか」(室伏弁護士)。 この状況の中、室伏弁護士はLFCを通じて日本企業の法務機能の強化に貢献したいと語る。「海外企業の仕組みがすべて素晴らしいとはもちろん思っていませんし、現在は成功事例として語られる海外での企業法務の仕組みや体制も当初からうまく機能していたわけではありません。試行錯誤の積み重ねだったことを、現場でま 総合ファームならではの 法務機能コンサルティング “LFC”で法務の地位向上を 同事務所は、一般的な法律事務所が提供していないLFC(Legal Function Consulting;企業の法務機能強化のためのコンサルティングサービス)を行っており、従前からの責任者であり、国際的金融機関の社内弁護士としての勤務経験が豊富なマイケル・ブロック外国法事務弁護士に加え、2020年に室伏康志弁護士を迎え、2022年からは日本企業での社内弁護士の経験も長い前田絵理弁護士が加わるなどチームを拡充している。 室伏弁護士は、外資金融機関のジェネラルカウンセルを17年にわたり務め、また、日本組織内弁護士協会の理事長を6年務めた経験を持ち、企業内における法務・コンプライアンス業務に精通している。 LFCは、企業の法務機能とガバナンスを強化するための現状分析や諸施策・体制構築のコンサルティングを行うサービスだ。「よく誤解をされるのですが、LFCはリーガルテックを販売するサービスではありません。コンサルティングをする中でクライアントの課題に応じたツールの選定や導入の支援を行うことはありますが、主眼はあくまでも当該クライアントの法務機能とガバナンスの強化のための施策・体制の提案と実装の支援です」(木内弁護士)。 室伏弁護士は、日本企業の法務部は優れた点も多い

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