Japan Lawyers Guide 2022
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ンランドだけにとどまらず、台湾や香港の経験豊富な弁護士も多数在籍しており、これらの法域を含めた“グレーターチャイナ”をカバーしていることも大きな特徴です。日本企業によるM&Aや当局の調査事案への対応など中国メインランド案件はもちろん、日本における中国企業の日常法務から中国企業の日本に対する投資案件まで、中国からのインバウンド案件も多数手がけています。日本企業による中国進出への意欲、中国企業による日本進出への意欲ともに現在も高く、中国法務を専門とする30名以上の弁護士によるチームによってサービスを提供しています」(中川弁護士)。の政治と経済、文化の正確な理解に基づくハイブリッド法務を提供できています」(射手矢弁護士)。射手矢 好雄弁護士Yoshio Iteya81年京都大学法学部卒業。83年弁護士登録(第二東京弁護士会)。88年米国Harvard Law School卒業(LL.M.)。89年ニューヨーク州弁護士登録。05年中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)仲裁人、06~17年中華人民共和国社会科学院法学研究所アジア法研究センターなどを経て、21年アンダーソン・毛利・友常法律事務所。 リアルなパラレルワールドで ハイブリッド法務を提供 AMTのチャイナ・デスクに2021年1月、一つの大きな変化があった。射手矢好雄弁護士の加入である。大手法律事務所で30年以上にわたり一貫して中国法務を手がけてきた射手矢弁護士は、中国を取り巻く環境が非常に大きく動いた1年だったと指摘する。 「米中対立の狭間にあって、中国におけるビジネスをどのようにするべきか、日本企業にとってこれまで以上に真剣に考える時期でした。私は中国をリアルなパラレルワールドであると考えています。空想ではなく日本のすぐ隣に厳然と存在し、似ているようでまったく異なる国であるということを、日本企業は再認識するべきでしょう。新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、それがより一層、明確になったと感じています。中国において法律業務を手がけるには、法令や条文を見ているだけではまったく足りず、政府の風向き、中国の文化まで注視しなければなりません。当事務所には長年、中国の政治経済を見続けてきた人材が豊富で、蓄積された経験も知識もチームとして共有されています。優秀な人材、人数、拠点がすべて揃い、盤石な体制が整っている中で、これまで以上にじっくりと考え、法律だけでなく、中国森脇 章弁護士Akira Moriwaki92年慶應義塾大学法学部卒業。95年弁護士登録(第二東京弁護士会)、アンダーソン・毛利・友常法律事務所。02~07年北京オフィス首席代表、13年~上海オフィス首席代表。09年~中国人民大学法学院客員教授、14年~上海国際仲裁センター(SHIAC)仲裁人。 中国弁護士が日本から 日本弁護士が北京から 屠錦寧外国法事務弁護士は中国弁護士として日本から、若林耕弁護士は北京オフィス首席代表として中国から、最新の情報を発信する。 「主に中国で事業を手がける日本企業のために、中国法に基づくアドバイスを提供しています。クロスボーダー取引やコンプライアンス体制の構築から、当局による調査への対応といった危機管理業務まで、クライアントの依頼も多岐にわたっています。日本で事業を行う中国企業からのサポート依頼も多く、特に日本企業とライセンス契約を結びたいという中国企業が増えてきていると感じています。中国弁護士として中国法の専門的な観点からはもちろん、中国出身というバックグラウンドに基づく中国文化の深い理解によって、コミュニケーションの齟齬に端を発する誤解まで意識してアドバイスしています。当事務所のチャイナ・デスクでは、中国をよく理解している日本弁護士と、日本に深くなじんでいる中国弁護士がチームを組んで、さまざまな視点によるアドバイスを行っています」(屠外国法事務弁護士)。 「中国が向かおうとしている方向を現地の北京において直に感じ、肌感覚で理解したことをクライアントに伝えることが自らの役割であると考えています。中国では2015年以降、重要な法令が急速に制定されました。これらの動向は日本にいても知ることができますが、解釈や実務での施行の状況など日本からではなかなか理解できない場面も増えてきています。例えば、金融や証券、保険分野への外資の参入を中国当局は厳しく制限していましたが、最近は外資の投資に対して門戸を広げつつあり、まさに絶好のタイミングとして子会社の設立認可などを取得する積極的な動きが見られます。一方、コロナ

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