リーガルテックを活用し弁護士の価値の最大化を図る
日本を代表する中規模法律事務所でパートナー弁護士として活躍してきた三谷革司弁護士が、2021年4月に開設したスパークル法律事務所。
「当事務所が目指すのは、最先端テクノロジーを活用した弁護士業務の効率化による、弁護士の価値の最大化。弁護士人生も折返しを迎え、自分が理想とする次世代型の法律事務所を実現したいと考えたのです」。そう話す三谷弁護士が事務所名のスパークルに込めたのは、“個々の弁護士が能力を発揮して輝ける場にしたい”という強い思いだ。
三谷弁護士は、株主総会に関するアドバイスからコンプライアンス、カルテル事件等の競争法案件やM&A、国際取引から紛争まで、企業法務全般を得意とし、国内外の企業を代理して数々の案件を手がけてきた。ただ、一方で既存の法律事務所のあり方の変革を考えていたという。

三谷 革司 弁護士
「現在の企業法務系の法律事務所はタイムチャージ制が原則で、多人数のアソシエイトの弁護士に膨大な作業をさせることに強いインセンティブが働いています。タイムチャージ制の合理性もあるのですが、本来であればできる限り作業を効率化し、弁護士はその能力を最大限に発揮できる場面にリソースを集中させるべきだと考えます。そのために活用できるリーガルテックはどんどん進化していますが、日本の法律事務所全体を見るとまだまだ積極的な活用は進んでいません。あわせて、日本には有力な法律事務所の数が足りず、利益相反の懸念が常にあり、多くの企業にリーガルサービスが行き届いていないという問題意識も持っていました」(三谷弁護士)。
10年前には理論上の技術であった自動運転がいまや当たり前になったように、「将来的に見ればAIなどのテクノロジーを活用した弁護士業務の効率化は確実に進むと思います」と三谷弁護士は言う。
「そうした5年後、10年後の未来には、最先端テクノロジーを使いこなせているかどうかは、法律事務所の差別化における一つの大きな要因となるはず。そんな未来を見据えて、いわば戦略的に立ち上げたのがスパークル法律事務所なのです」(三谷弁護士)。
少数株主対応からベンチャー法務まで 多岐にわたる分野で強みを発揮
書籍や文献のリサーチやAIによる契約書のレビュー、翻訳ソフトやデータベースなどの利用によって、従来の弁護士業務を可能な限り効率化。弁護士が最大限かつクリエイティブに頭を働かせ、依頼者にとって最適なアウトプットをスピーディに提供することを目指す。そんな同事務所には、既に多くの企業から幅広い相談が寄せられる。
「従来の上場企業向けのガバナンス関連のご相談はありますが、リーガルテックの活用を打ち出していることもありベンチャーやスタートアップ企業からのご相談も増えています。特に最近はアクティビストファンドや非友好的な株主からの株主提案などが話題で、少数株主対応関連の案件が増えている印象です。買収防衛策の発動や、株主総会での投票をめぐる紛争など、今後のリーディングケースになりうる裁判例も多く出ています。株主提案対応や荒れる総会対策、プロキシーファイトなど、そうした分野では私自身が多くの経験を有していますので、十分に強みを発揮した支援をさせていただけると思っています」(三谷弁護士)。
ほかにも独禁事件やM&A、企業間紛争などの案件に、ときには国内外の法律事務所とのネットワークを駆使して対応。さらに2021年6月には一部上場企業でインハウスとして活躍した干場智美弁護士が入所。
「企業ではAIなどのテクノロジーを活用することが当然の前提となっており、その上で、テクノロジーを用いてどのように業務の効率化を図るか、また、どれだけスピード感をもって事業を展開できるかという点に高い関心を持っていらっしゃると理解しております。そうしますと、クライアント企業の事業を支える弁護士においても、テクノロジーを深く理解し、また自ら活用できることが必須となると感じていた次第です」。そう話す干場弁護士が手がける分野は、一般企業法務やベンチャー企業へのオールマイティな対応。また、交渉戦略の立案にも注力したいという。
「例えば新しい事業のご相談を受けたとして、それが法的に難しいものなら、経営戦略などに沿った代替案をクライアントの皆さまと一緒に考える。これまで特に重視してきたそうした姿勢は、事務所としての理念でもあるクライアントファーストと共通する部分であると思いますので、今後も企業のご担当者や法務部の方々と並走しながら事業構築のお手伝いができればと思っています」(干場弁護士)。
弁護士や法律事務所のあり方を変えていく
弁護士の世界では現在も、ある意味では激務が美徳される。“次世代型の法律事務所をつくること”をミッションとする同事務所では、そうした旧来型の法律事務所の常識を覆し、ワークライフバランスも重視した新しい弁護士の働き方も模索する。
「メンバーとは常に忌憚のない意見を交わせるワンチームでありたいと思っています。私自身が“フレキシブル”をモットーとしており、どのような案件にもスピーディに対応することを心がけてきました。難しい案件にも数多く関わらせていただきましたが、私自身は敷居の低い弁護士を自認していますので、デイリーの法律相談も大歓迎です。クライアントと同じ船に乗って事業成長をサポートしたいというのが私たちの考え方。そうした弁護士を求めておられる企業にとって、大きな力になれると自負しています」(三谷弁護士)。

三谷 革司
弁護士
Kakuji Mitani
00年東京大学法学部卒業。02年弁護士登録(第一東京弁護士会)。07年米国Columbia Law School修了(LL.M.)。08年ニューヨーク州弁護士登録。21年スパークル法律事務所設立。会社法・株主総会アドバイス、コンプライアンス・競争法案件(カルテル事件等)、M&A、国際取引等、企業法務全般について豊富な経験を有する。会社紛争事案、企業間の紛争事案の解決にも実績を有する。

著 者:武井洋一・浦部明子・三谷革司・伊藤一哉・松田由貴・渡邉和之[編]
出版社:民事法研究会
価 格:7,260円(税込)