34宮内 佐和子 氏 Sawako Miyauchi野村ホールディングス株式会社 グループ法務部長弁護士・ニューヨーク州弁護士03年弁護士登録(東京弁護士会)。15年野村證券株式会社入社。同社法務部および野村ホールディングス株式会社グループ法務部に配属後、16年法務部法務二課長。各種契約、M&A、金融規制や日米の開示規制に係る相談、知的財産権、不祥事事案の対応等に携わる。22年より現職。 野村ホールディングス株式会社は、世界約30の国や地域にネットワークを有するグローバル金融サービスグループである野村グループの持株会社である。野村グループは、“ウェルス・マネジメント”“インベストメント・マネジメント”“ホールセール”という三つの部門が横断的に連携して、国内外の顧客に付加価値の高い商品・サービスを提供。グループ全体の顧客資産残高は、国内最大の134.4兆円にのぼる業界のリーディングカンパニーだ。 「私たちが扱う商品・サービスは“かたち”があるものではありません。当然、上場株式や国債などプレーンなものもありますが、投資家や発行者のニーズを踏まえたリスク、経済性とするために契約文書などを作り込んで“商品”として組成していくものも扱っています。それゆえ、組成の時点から法務部門が深く関わることが重要です。この点が金融機関の法務の特徴であり、醍醐味の一つですね」。 野村ホールディングス株式会社グループ法務部長・宮内佐和子氏によれば、スワップやオプションなどのデリバティブ(金融派生商品)やそれらを利用して投資家や発行者のニーズに合わせたリスクや経済性を持つよう組成した金融商品では、当事者、関係者が複数の法域にまたがることも多いが、その場合には、関係国のさまざまな金融規制にも配慮する必要があるという。こうしたグローバル展開を図る金融サービスグループの法務機能はどのような体制になっているのだろうか。 「野村證券の法務部門には約60名(男女比は約半々)の部員が在籍し、法務部と取引法務部の2部に分かれて所属しています。彼らの半数ほどは野村ホールディングスのグループ法務についても兼任しています。法務部は株主総会、資本提携といった伝統的な法務機能のほか、ウェルス・マネジメントやインベストメント・マネジメントといったビジネスにおける契約や業法対応のサポート等を、取引法務部は主にホールセールのビジネスのサポート等を担っています。海外の法務は主にホールセールやインベストメント・マネジメントをサポートしており、グローバル全体で250名ほどが在籍していますが、金融については各国の関連法規に精通していることが必須となりますので、現地での採用がほとんどです」(宮内氏)。 グローバルな金融機関においては、海外での訴訟や当局から課徴金を課せられた場合の金額は莫大なものとなる。こうした紛争リスクや摘発リスクを縮小・管理していくことが経営から求められている課題であり、その取組みのため、今後もグローバルでの連携強化を推進していくという。 「一方で、政府が推進する“貯蓄から投資へ”という流れは“攻め”のタイミングだとも考えています。この波に乗れるよう法律面でいかにサポートしていくか。これも経営から期待されグローバル金融サービスを支える法務法務で、はたらく。interview02Nomura Holdings, Inc
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